子供の教育という点で一番重要なことは、無理強いをさせないということです。幾ら親が『勉強しろ!』とせき立てても、本人がヤル気にならなければムダです。塾に通わせても、家庭教師をつけてもムダです。
そして問題なのは、大半の親がここで間違った対応をするということです。子供が勉強しない時、親は強制しようとしますが、押せば押すほど、逆に子供の拒否反応も強くなります。完全な悪循環であり、これを止めない限り、何をやってもムダです。
そして、これが重要なことですが、子供も勉強の大切さは分かっています。やらなくてもいいやと本気で考えている子ってそうはいません。分かっていても、なかなか取り組めない。そんな自分を責めているものです。
これって、自分にプレッシャーを与えて追い込んでいることになりますが、これが意欲をそぐことにつながります。このメカニズムを理解して、プレッシャーをなくすようにサポートしてあげるのが、親のやるべきことです。
子供により強いプレッシャーを与えるというのは最低の行為であり、百害あって一利なしです。
家庭教師のアルバイトで痛感した一つの体験
私は昔、アルバイトで家庭教師をしていました。家庭教師を依頼する家庭には二つのパターンがあります。一つ目はとびきり優秀なため、専任教師をつけて徹底的に内容の濃い勉強をさせるというパターン、もう一つは学校の授業にサッパリついていけず、それでリカバリーしようと思い学習塾に行ったけど、そこでもダメで、最後の頼みの綱で家庭教師を依頼したというパターンです。
私は後者のタイプの冷たい言い方をすれば、いわゆる落ちこぼれの生徒を担当することが多かったのですが、彼らには共通する特徴がありました。これは例外なく100%そうだったことなのですが、それは本人が自信をなくしているということ。
そして、親が無意識に、子供に自信をなくさせるような行動を取っているということです。
いきなり家庭教師がきたとしても、子供はそう簡単に勉強する気にはなりません。嫌々感が満載です(;^_^
ただ、勉強で落ちこぼれてしまった子って、優しくて真面目な子が多いので、先生となると素直に言うことを聞こうとします。
それで、私は最初のうちは、あまり勉強させることはせず、自信をつけさせることに専念しました。具体的には、簡単な問題から解かせていって、解けるたびに『ここはキチンと覚えているね』、『ここは大丈夫だね』と褒めてあげるようにしました。
あまり大げさに褒めると、バカにされていると感じるかもしれないので、軽い感じで褒めることを意識しました。
少し進むと、分からなくなってしまいますが、ゆっくり丁寧に一緒に解いていって、少しずつ分かるところを増やしていきました。
そうすると、本人も『自分に出来る』と思い始めて、だんだん取り組む姿勢が変わってきます。そうなれば、勉強のスピードもアップするし、テストの成績があがるなど目に見える形の成果も現れてきます。
変な話、元が低いため、成績をあげるのは簡単です^^
でも、本人にしてみたら大きなことです。
そして、さらに大きかったことが親の我が子を見る目が変わったことです。
私が家庭教師を始めた頃には、『ウチの子は本当にダメで・・・』、『頭が悪くて・・・』といった言葉ばかりを口にします。謙遜も入っているのでしょうが、他人の前でそんなことを言われたら、子供も嫌になります。これが学習意欲をそいでいるのは間違いありませんでした。
でも、子供の姿勢が変わり、成績も上がってくると、親は喜び、子供を褒めるようになります。
そうすると、親に認められて嬉しかったのか、ますます勉強に取り組むようになり、最終的には、自分から自発的に勉強する子になりました。
親からの信頼が出発点
子供にとってみたら、やっぱり親から褒められる、認められるのが一番嬉しいんです。逆にいえば、親からダメ出しされることほど辛いことはありません。
我が子に勉強で良い結果を残させたいのであれば、まず親が信頼することです。これが全ての出発点です。
どこの塾にすればいいのか、どんな家庭教師にお願いすればいいのかといったようなことは、その次です。
親バカなぐらい、嫌みなぐらい自分の子供を褒めてください。それがあってこそ、勉強も活きてきます。塾や家庭教師にかける教育費をムダにしないためにも、親としての心構えを整えることが大切です。