ファッション

家庭教師という仕事をしていた時、つくづく感じたのは、子供というのは元々、何かしらの能力を持っていること。それが何かのキッカケで表に出るようになれば=隠れ持っていた能力を発揮出来るようになれば、それは全体的な向上につながるということです。

 

ファッション好きな中学生の女の子を教えていた時のことなのですが、その子は勉強すること自体が苦手。机に座って教科書を開いていること自体が耐えられないという性格で、成績はサッパリでした。

 

ファッション

 

ただ、話をしていると、頭の回転は良くて、決して能力が低い子とは思えませんでした。でも、勉強という行為を続けることが出来ないので、最初のうちは1回2時間のうち、まともに勉強をしたのは15~20分ぐらい。

 

あとは、適当におしゃべりしていたり、その子の好きなようにさせていました。それでも、以前と比べれば、勉強する時間が増えたので、テストの成績もアップ。親御さんも喜んでいたのですが、まさか、実際には殆ど遊んでいるだけとは思わなかったと思います(;^_^

 

ファッション雑誌で英語とイタリア語を学ぶ

それで、ある時、その子がファッション雑誌をよく見ていることに、ふと気がつきました。14歳の女の子であれば、別に普通のことだろうと思っていたのですが、話を聞いてみると、興味の度合いがスゴくて、私では到底理解出来ないぐらい、突っ込んだ話をしてくれました。デザインとかファッション業界の流行といったような話です。

 

そのなかで、やっぱりファッションの本場はイタリアなので、イタリアのことをもっと知りたいということを口にしました。当時はインターネットなんて無い時代なので、海外の情報を手に入れるようとすると、日本に輸入されている雑誌を読むぐらい。

 

しかも、そんな雑誌が手に入るのは東京だけ。私が住んでいた栃木の片田舎では、まず入手出来ないものでした。そこで、用事があって都内に行ったとき、新宿の紀伊國屋書店の洋書コーナーにいって、ファッション系の雑誌があるかどうか見てみました。

 

すると、アメリカの雑誌とイタリアの雑誌があったので、その子に買っていってあげたのですが、そうしたら大喜び。食い入るように見ていました。もちろん、英語とイタリア語なので、内容は全く分かりません。

 

ですから、最初は写真を観るだけだったのですが、それでは満足出来なくなったのか、英語の辞書を見ながら、読み始めました。アメリカの雑誌ですから、語学という観点でみたら、かなりの高レベルですが、そこは興味が上回ったのか、熱心に辞書を調べながら、キチンと内容を把握していきました。

 

あとは、説明するまでもないと思います。こうやって、英語と接するようになった彼女は、みるみるうちに英語を吸収していきました。不思議なことに、こうやってファッション雑誌で英語と接するようになると、教科書や問題集で英語を勉強することも自然に出来るようになりました。

 

結果として、文法なども覚えてしまい、半年ぐらいで成績も急上昇しました。また、これは高校に入ってからの話ですが、他の教科についても、勉強に取り組めるようになり、結果として、彼女は大学にも進学、大学卒業後はアパレル業界の求人に申し込んで、アメリカンファッション系のブランドに就職、今もアパレル関係の仕事をしています。

 

何でもいいので、夢中になれることを見つけると、実力が一気に伸びるんだなということを痛感した出来事でした。

 

アパレル業界で活躍してしまうほどに

ちなみに、これは余談ですが、中学生の時点で、彼女はイタリアの雑誌も読みたいということで、イタリア語の辞書を購入して勉強していました。大学に入る頃には、それなりのレベルになっていたようです。

 

私はサッパリですが・・・

 

アパレル業界では、語学については英語とイタリア語が出来れば、かなり高い評価を受けて、有利な条件で転職出来るようなので、子供の時のちょっとした経験が、彼女にとっては一生モノの武器を手に入れることにつながったわけです。

 

自分の好きなこと、興味を抱くことを素直に追求するというのは、とても大切です。子供だったら、尚更です。勉強は確かに大切ですが、嫌がることは過度に押しつけすぎず、何も言わなくても自然に取り組めるようなことと接する時間を長く出来るような環境を用意してあげることが大切です。