教育ということに関しては、間違った常識がたくさんありますが、そのなかでも大きいのは『叱る』ということだと思います。教育において叱ることは必要不可欠と考えている人は多いと思います。
叱る=しつけ・教育という発想ですね。
でも、これは決して正しいことではありません。たしかに叱ることで注意をうながすという効果もありますが、それよりも逆効果になるケースが少なくありません。
叱られれば、誰だって嫌な気持ちになります。自分が悪いと分かっていても、反発したくなったり、いじけたりするものです。
大人だって、ここは一緒ですよね。それを何とか理性で受け入れているというのが正直なところだと思いますが、これを子供に求めるのは酷です。
子供からしたら、親は絶対的に強い立場です。逆らうことが出来ない存在です。そういった立場の人間からの叱責というのは、たとえ正しかったとしても、プレッシャーが強く脅迫になってしまいます。
たとえば、あなたが会社で社長から呼び出されて、叱責されたとしたらどうでしょうか?
面と向かって堂々と反論出来るでしょうか? 自分の主張や気持ちを伝えることが出来るでしょうか?
まず無理ですよね。
子供にとってのあなたというのは、この社長のようなものです。この立場の違いを考慮せずに話をすることはNGです。
これは理屈の問題ではなく、人間同士のコミュニケーションとして必要不可欠なことです。
では、どうすればいいのでしょうか?
子供と一緒に考えることが最大の教育
それは、一緒に考えることです。
たとえば、いつも宿題をサボることを止めさせたいとします。
このとき、普通だったら『なんで宿題しないの。キチンとしなさい!』と説教すると思いますが、そうではなく、宿題に取り組むことの重要性を本人に納得させます。
納得させるというのは、強制的に受け入れさせるということではありません。『やらないと怒られるから仕方がなく勉強する』と子供に考えさせてしまうようではダメです。
重要なことは本人が自分で本当に『宿題ってやらなければいけないんだ』、『宿題って重要なんだ』と納得して、自然に取り組む気になることです。
そうなるまで、丁寧に説明をします。
そのためには、あなたが宿題をする理由を説明できなければいけませんが、出来るでしょうか?
この点については『なんで勉強するの?』という子供の質問に、あなたはどう答えますか?でも触れていますが、とても重要です。
子供が勉強をしないのは、勉強することに意味を感じていないからです。勉強することが大切なんだと理解したら、自発的に取り組むようになります。
だから納得するまで、子供と話をしてください。決して、親の考えを押しつけてはいけません。これは、とても面倒なことですが、だからといって避けていたら、いつまでも根本的な解決には辿り着きません。
もしかしたら、子供うんぬんの前に、あなた自身が自分自身と対話して、考えを整理する必要があるかもしれませんが、面倒がらずに実行してください。
これが嫌だと言うのであれば、それこそ子供に勉強しろという資格はありません。あなただって、嫌なことを避けているのですから。
子供の話も聞いてあげる
もう一つ重要なことは、子供の話にも耳を傾けてあげることです。
もしかしたら本人も勉強することの大切さは実感しているけど、でも苦手でついサボってしまうといった状況にあるのかもしれません。
こんなふうに、本人が重要性を理解しているのであれば、話は簡単です。あとは勉強出来るようにやりかたを工夫すればいいだけです。
まずは1日10分だけやってみる。1日1ページだけ取り組んでみる。
こんなふうに小さなことから始めていくのがオススメです。
勉強が苦手という子は、学習というものに対して大きなプレッシャーを感じていて、それが苦手意識につながっていることが少なくありません。
プレッシャーを感じるのは大変なことをしようとしているから。プレッシャーを感じないぐらいに細分化すれば、動けるようになります。
こんなふうに、まずは負担がかからない分量で始めて、慣れてきたら少しずつ量を増やしていく。これが勉強を習慣化する方法です。
一方的に子供を叱ることには意味がない
これって叱ることとは全く関係ないですよね。
両者の大きな違いは叱るは過去のことを責めている後ろ向きの行為である一方、上記の二つは『これから、どうしていこう』と前向きな態度であるということです。
勉強するというのは、成績をあげる・学力をつける・受験に合格するなど、何かの目的があってこそですよね。その目的実現するためのやりかたを子供と一緒になって考える。こんな姿勢が重要です。
無理強いさせること、頭ごなしに叱ることには何の意味もないことを理解してください。