どうしても勉強をしない子供に対して、良い成績を取ったらご褒美をあげるというやりかたはどうなのでしょうか?
私の個人的な意見としては反対です。ニンジンをぶらさげるような方法では、本当の意味でのやる気とは言えず、従って実力もつかないと考えているからです。
私は、子供の時に親に『成績が上がったらお小遣いをちょうだい』と言って断られたので、ご褒美をもらったという経験が全くないのですが、それでも自分から勉強していました。
それは自分なりに勉強することの意義や大切さを理解したからですが、これってタイプにもよるのかなと思います。
家庭教師をしていた時には、自発的に勉強しない子供って少なくありませんでした。(というより、家庭教師を依頼する家庭の子は、ほぼ100%やる気がない子でした。)
だからこそ、ご褒美で、その気にさせるというのはアリだと思っています。ただし、やりかたを間違えると失敗します。
ご褒美はたいしたことがないものにする
最大のポイントは、ご褒美をちょっとしたものにすることです。金額でいったら300~500円くらい。マンガ1冊分程度です。もらえたら嬉しいけど、でも興奮するほどでもないといったレベルです。
(補足)
少額の場合、お金であげても有り難みはないので、それよりは子供が好きなモノを買ってあげるというほうが効果的です。
これを下手にプレステを買ってあげるとか、ディズニーランドに連れていってあげるといったような、子供が目の色を変えるようなものにすると、かえって逆効果です。
説明の順序が逆になってしまいましたが、ご褒美でやる気を持たせるというのは、あくまでも出発地点としての話です。
こうやって勉強する習慣を身につけてもらって、そのなかで勉強することの喜びや意義を実感してもらい、ご褒美など関係なく自発的に取り組めるようになってもらうことが最終目的です。
ちょっと専門的な言い方をすると、喜びや意義というのは自発的動機(自分の内側から出てくる動機)、ご褒美は外発的動機(外の刺激で出てくる動機)です。
本当に強いのは自発的動機ですが、最初にあまりにも外の刺激が強いと、いつまでも外発的動機に影響されるようになり、ご褒美がなければ動けない人間になってしまいます。
そして、人間は慣れる動物なので、最初は『プレステをもらえた!』と大興奮していた子供でも、今度はそれでは何とも思わなくなります。どんどん、ご褒美の内容を豪華にしていかなければいけませんが、そんなことは無理なので、最終的には続かなくなります。
これはお金でも一緒で、最初は100円で喜んでいた子供でも、そのうち1000円でも『たったこれだけ・・・』となります。
でも、外発的動機が弱ければ、内発的動機が育ってきた時に入れ替わるので、そうなると自分から努力出来るようになります。
ご褒美をあげる目標設定
もう一つ重要なことは、何に対してご褒美をあげるかです。大半の人は『今度のテストで60点を取ったら』とか、『通知表の成績が4になったら』といったことを条件にすると思います。
これはこれでいいのですが、それと並行して実行すべきなのが、『宿題を終わらせたら』とか『今週1週間、毎日1時間ずつ勉強したら』というふうに、勉強したことに対してご褒美をあげることです。
こうすると、毎日勉強する意欲が出てきます。
成績が上がった時だけという設定をすると、その結果が出るまでに時間がかかるので、やる気が続きません。
また、成績というのは運・不運という要素もあり、真面目に頑張ったからといって、それがスムーズに結果に結びつくとは限りません。たまたま自分が苦手だったところとか、忘れてしまったところが出題されたらアウトです。
もちろん、こういったことも乗り越えて点数を取らなくてはいけないのですが、勉強に慣れていない子に、最初からそこまで求めるのは、ハードルが高すぎです。
一方、勉強することそのものを目標とすれば、それは本人の意欲さえあれば出来ますから、達成するのが簡単です。
そこでご褒美をあげるようにすれば、努力することに対するモチベーションが湧くので、勉強を続けやすくなります。
そうやって続けていけば、成績は嫌でも上がるようになります。